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2018/12/18

社会インフラと美術インフラの日本的な特殊事情

日本のデフレ不況で起きた社会の変化を、適切に言い表したことわざが「貧すれば鈍する」でしょう。「衣食足りて礼節を知る」と同じ意味を、裏返しに言った先人の知恵であり、普遍的な法則といえます。貧困で常人も気がすさむ。

すぐ浮かぶ例は、1998年頃に急増したモンスタークレーマー。オレオレ詐欺も同じ文脈か。マネー市場と成果主義に感化され、他人を効率よく倒しやすい犯罪が好まれる。あおり運転やらの不機嫌と、邪推や被害妄想で沸点が下がった狂気の沙汰が日常化し、日本が22年間のGDP横ばいで得たものを物語ります。

しかし解体前の日本の空気は、それとは逆の精神でした。1997年以前の日本が行く道は中庸と互助でした。ゴルバチョフ書記長時代にソ連職員が日本国内を見学し、「我が国が理想とした社会主義は、日本で実現していた」と放心したという。官民が連携した都市インフラも国民健康保険も、和の国日本ならできた。

日本が一億総中流社会を続けた動機は、国土のハンデでした。地震と噴火と台風。ハワイ諸島が日本側に寄ってきて、海底でめりこみ日本海溝となり時々反発する。日本全国どこでも震度7という。富士山の噴火も近いらしい。しかも台風が列島をなぞるように縦断。西洋にはない致命的な慢性欠陥です。国内不和だと困る。

災害銀座を思い出させたのは、新潟地震から時間がたった阪神淡路大地震でした。しかしその95年から「格差社会」「勝ち組負け組」「自己責任」など、助け合いを捨てたミーイズム思想が大流行しました。金欲しさに西洋側に立ち、日本の解体を促す日本人ロビイストが扇動したのです。

最近経済学者が、日本が裕福なのは僕らの功績ではなく、亡き先祖の功績だと説きました。円が世界三大通貨なのもそう。思えば美術も、先人の名画名作が今を盛り立てています。社会インフラと同様に美術インフラも、過去の才覚と蓄積が現代を支えている現実です。一方のミーイズムは死んだらゼロ。
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