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2019/01/02

美術展覧会は海外の方が楽しくやりがいがあるのはなぜ

日本で開催される大規模な展覧会の大半が、公募コンテスト方式です。その最大の特徴は、審査員が取捨して当落を決める点。市民に見せるべき作品を通し、見せるべきでない作品を除去します。審査員が嫌いな作品タイプは展示から外れる。

日本人がそれを当たり前と思っているのは、「正しい美術」と「間違った美術」がある前提と、その二つを上位の人が仕分けしてくれる期待があるからです。一方、外国でコンテストが敬遠される理由は、現代のゴッホが除去される仕組みだから。

除去してもよいと日本で考えるのは、芸術が苦手だからです。どうせ作品を見ても違いがわからないから、優れ物と劣り物を先に分別してくれたら、僕らは安心して美術展が楽しめるという。ゴッホは子孫にまかせる。優れ物は上が決めて下に教えれば済み、下の立場で価値を決めてはだめ。市民は上からの指示を待つだけ。

さて問題は、アーティストにとっての効用です。ある画家が異なる作風の二種類を出して、一方が当選し一方が落選したとします。その画家は賞罰で指導を受けたかたちで、見ようによっては調教される犬やイルカのような扱いです。

とはいえ、芸を覚えるプロセスのどこかに審査する評価者がいてくれないと、制作力アップが見込めないのも事実。そこで日本以外では、審査員を一般市民に設定しています。市民は作品を買いはしても、展示前に除去するまではやらない。結果は展示即売の方式となり、いわばアートの豊洲市場です。

豊洲市場に見学者より購入者が多いように、世界の美術展覧会は購入者向けの市場です。買う立場にとっては物をよく見せる飾りつけは不要で、床にゴロゴロ置いてもらえば選んで買うから。会場をキラキラに美化した費用を、画家たちの売り上げから没収する必要もなく。
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