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2019/03/05

写真のプロはプロ用特権のカメラを使うのか|駆け出し素人の思い込み

学生の時に後輩の一人と写真を話題にして、プロカメラマンが使う機材の話になりました。「プロは僕らアマチュアが買えない、市販されていないカメラとレンズを使っている」と彼は言い出したのです。「だってプロ写真家が撮った写真は全て、僕らと全然違ってきれいだから」。

プロも普通の市販カメラとレンズを使っているのだといくら言っても、「それはさすがに、どう考えてもウソだとわかる」「機材が違うから勝てない」と相手は自説を曲げません。プロ用の特別製カメラを、業者ルートで調達できるプロ特権があると信じていました。

たとえば宅地造成された空き地を写真に撮るとします。赤土に少し雑草が生えて、茶色く枯れた状態。その空き地をアマチュアとプロの誰が撮っても、できた写真はショボい。光景が平凡すぎて。そんな平凡な光景を、プロ写真家は撮らないだけの話です。

カメラが特別なのではなく、探し出した光景が特別なだけ。劇的なルックスと色彩がある光景を見つけ、レイアウトするのがプロ。これは「写真は芸術ではない」という芸術観に対して、反論にもなるでしょう。写真は機械に頼るから、人の手の跡が残らず芸術失格だという、日本に根強い論法があります。

ドイツでは逆に写真芸術が盛んで、芸術観の違いも読み取れます。特別な光景を探し出す目にワザありという発想が、ドイツにはあるのです。選択眼が芸術力。日本で多く語られてきた、デッサンの手腕と年季でにじむ匠の味わいを礼賛する、名画ファンの感覚とは異なります。だから日本で写真の地位は低い。

光景の探しやすさと構図のまとめやすさはファインダーの機能ですが、最近は一眼レフの光学ファインダーをテレビカメラ化した、いわゆるミラーレス一眼の商品競争が激化しています。ロストテクノロジーも関係があり、レフ式光学ファインダーの精度を日本以外で実現できない限界がからんでいます。
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