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2019/04/09

先進美術館構想から一年、本当にやるつもり?

先進美術館(リーディング・ミュージアム)構想が政府から提案され、やがて一年です。当時ネットに多かった反応は、「役所がまた変なことを始めた」「国が文化にタッチするとロクなことがない」「官にはセンスがない」など昔ながらの言い方でした。しかし注目点はそこではないでしょう。

国民が気にすべきは、お役所仕事がどうこうではなく、法律の裏に受益者がいる点です。近年の日本でも、受益者がロビー活動で政策委員に要望し、委員がまとめた案を国会議員の起立多数で、簡単に法律に加える手順が続いています。

利益供与は違法でも要望は合法であり、実際に世界中の法律の多くは特定の願いをかなえる目的です。穴があいた法律や、なぜか罰則がない刑事法も、私人の都合が割り込むからです。近年のキーワードは「レントシーキング」。

日本の美術館が昔買った有名絵画など所蔵作品を、欲しがる者は世界中にいます。具体的な作品は、リストアップ済みだったりするでしょう。ミレー、ゴッホ、ピカソ、ミロ。ステラなど現代も含めて。彼らがそれを入手するのに、美術館が自由に売り払える制度を設けて欲しいわけです。

当時は3億円や8億円の絵がニュースでしたが、今では価格も20倍などです。今こそ欲しがる国際投資ファンドや金満国があります。経営難の県立美術館などから名画を引きはがし、新興の富裕国へ移すプログラムが先進美術館の主目的でしょう。

一人当たりのGDPが日本より高い国は、2017年に24カ国です。「日本はもう経済成長しない成熟国だ」などと将来を放棄すると、今ある名画名作を引き抜かれてしまうでしょう。大企業や科学技術の次は、美術品を海外へ持って行かれる番だと、少し気を回しておきたいところです。
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