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2019/08/18

自分の作りたい作品、売れる作品、芸術的な作品

アート・マネージメント・システムのオプションは一方通行のレクチャーでなく、制作ノウハウや芸術論も含んだ相談会です。こちらが教えられることも多く。時々出る話題は、作者のやりたいことと、売れることと、芸術性の三つの関係です。

「売れるためには、自分のやりたいことを曲げて、不正直な作品にならないか」という命題です。そこにもうひとつ加わるパラメーターが芸術性で、自然体の作品と売れる工夫を加えた作品は、どちらがより芸術的かという疑問です。

この命題が出る最大の原因は、ここが日本だという点です。「なんじゃそりゃ」となりそうですが、日本では公募審査コンテストが大半を占め、アートフェアがごくまれという特異性が大きいのです。欧米の美術展は全くの反対です。

欧米の美術展は、作品売買マーケットです。展覧会場は日本でなら全国物産展みたいなもので、お客の目的は見学ではなく、何かを買って帰るつもり。現地の美術家は売る前提でやりたいことができており、制作の方向性を曲げさせられる圧は欧米では小さいでしょう。

商売と芸術のジレンマという筋書きは日本的です。アートフェア文化圏では、見る目がマーケットで育成され、芸術的な方がひとまず売れる傾向です。日本で全国物産展がよく開催され、よく買いに行くお客ほど目が肥えているのと似て。その点で見物するだけだと、見る目はできないと考えられます。

「真の創造はリアルタイムには評価されない」という本質論は残ります。それでもお客の数だけ審査基準があるアートフェア方式だと、入口での失格はないわけで。民主化や一般化を済ませた欧州国に作品を出す時は、日本国内で無意識に行ってきた手加減を解除するのが近道です。
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