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2021/01/08

成人式の振袖がまた受難の緊急事態宣言|日本画とモダンアート

振袖の展示や試着会は海外のジャパン・フェスティバルでも行われ、和服の最高峰になっています。今年も成人式が近づきましたが、二度目のコロナ緊急事態宣言で一部地域は中止みたいです。レンタル振袖が消えた事件など、二十歳女性の受難が続きます。

振袖の最大の特徴は袖の布が下に伸びたデザインで、タテ1.1メートルもある大振袖が成人式で多いそうです。一昔前は中振袖が定番でしたが。その大面積に広げられた図柄は日本画の形式をとり、長年コストをかけて洗練されています。

振袖を美術としてみると、日本画の伝統的な意匠が見て取れます。まずはアシンメトリーなレイアウトで、左右対称や並列を意図して崩してあり、水平や垂直が生じないよう斜めに流れるイメージが多くみられます。規則的なかっちりしたリズムはなくしてあります。

空間の埋め方はモダンアートの表現主義と近似し、花は写実ではなく抽象化されています。幾何学的な造形はほとんどなく、有機的な形態へ持って行くアンチデザイン指向です。さりとて生々しさや毒々しさへは行かず、前衛の手前でとどめていますが。

色も赤系や桃系、青系など以外に、意外な組み合わせカラーで、珍しさを狙ったものもあります。それらをトータルすると、画一化ではなく多様化された世界です。ワンセットを抜き出せば、そこに込められた物語性は豊富でしょう。

しかし物語は一着の振袖の中で埋もれたり、集団の中でも埋もれやすいでしょう。埋没はモダンアートでもよく起き、慣れない目に全てが同じに映ったり、細部は目に入らないとか、記憶に残らないことがよくあります。振袖の図案は、日本画への入門みたいになっています。
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