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2021/03/05

小中学校の鉄骨補強と日本経済の規模|コンクリートから人への貧困化

日本国内の小中学校の校舎を見ると、窓ぎわにV形やX形など太い斜め材が目立ちます。欧州ではあまり見ないでしょう。阪神淡路大地震をきっかけに広まった、耐震補強というリニューアル法です。耐震診断と呼ぶ現地調査から始めます。

当時の青焼図面製本が、発注した市役所や県庁に残されています。学校の場合は、ラーメン構造の外構枠を利用して、戸外側に鉄骨ブレース(筋交い)の剛体をはめ込む方法。鉄骨ビルだと内部に加えるために、内装をはがし取り一新します。室内が少し狭くなりますが。

日本の耐震診断の構造計算ソフトは、世界一進んでいます。国土交通省とゼネコン構造部、構造設計事務所、大学建築学科が連携し、論文も充実しています。しかしそれだけにコストは高いのです。オフィスビルの例では、建て替え新築の半額もかかりました。取り壊しは別途なので、差は十分あるのですが。

そこで政府の通貨発行権で補助金を出して、オーナー側は銀行融資で払いました。新基準を義務として、後から建てたビルは震度7でも倒壊しない厳しい設計です。後に全国で続発した地震に間に合ったケースも多くあり、間に合わないビルは壊れました。

前に構造計算のミスや不正で事件になった建物も、大地震で結局どれも倒れなかったのは、大きいマージンをとるからです。未来の地震や台風は、きっと過去最大より大きいとの想定が業界にあります。他国で建てた日本製の橋や塔が倒れない理由がこの伝統ですが、建設費はやはり高い。

おもしろいことに、建築を丈夫に建てるコストがそのまま、日本の経済規模GDPを大きくする宿命です。コスト高なほど貧乏になると思いきや、貨幣発行総量が増える原理なので、経済大国になり庶民の暮らしも向上します。その逆を行く風潮が、「コンクリートから人へ」という経済衰退方向のムーブメントでした。
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