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2015/03/20

フィルムカメラとデジタルカメラ

フィルムカメラとデジタルカメラは、音楽のレコードとCDの関係に似ているような。デジタル一眼レフカメラで撮影したデモ画像はネットにもあります。その高画質から、一部の写真家は思い出すかも知れません。大型カメラのアポクロマートレンズを。

レンズが光を屈折させて感光面に届ける際、プリズムの原理で波長の違う7色が分光し、たとえば赤色と青色が微妙にずれます。その色ずれを完全になくすには、レンズ群の前半部で分光させておいて、後半部で再び集めて打ち消せばよい理屈です。

その理屈どおり前後を鏡面対称に設計したのがアポクロマートレンズで、主目的の製版以外に商品撮影にも使われました。特徴は、非常に高画質でありながら、全く味がないこと。

フィルム時代の作家たちは、逆にレンズに固有の味を利用しました。残存歪みが生むにじみや、甘くなる描写傾向などを、すさびの風情や表現の隠し味に使ったのです。

今では入門用レンズさえ、非球面や低分散ガラスの投入で、収差が激減しています。コーティング材も隔世の性能。このハイテク応用はレンズ側の事情ですが、今のメーカーが味を消す最大の動機はボディ側のデジタルセンサーです。撮影後にパソコンで見て、微細にかっちり写る製品を神扱いするユーザー評が、売れ台数を直接左右する時代だから。

フィルムメーカーが転進や廃業した今、デジタルの表現力がフィルムに劣ると指摘されています。レコードよりも格段に高音質のCDが、音楽の心を伝えないと評されたのと似て。最初は扱いの簡便さでデジタルが歓迎され、時間がたってからアナログの味わいが見直されるパターンです。
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